マルタ・アルゲリッチより

2021年、昨年から続くコロナとの闘いは今も続いています。
私自身もヨーロッパでのロックダウンを経験をしましたし、来日に関しても今日は大丈夫、でも明日はどうなるのか、という不安は常にあるなかで、私たちの来日へ向けて様々な困難を乗り越え今日を迎えることが可能となったのだと
思います。
関係者の御労苦に感謝したいと思います。

今も常に人との距離をとることが求められる特殊な環境を経験をしていますが、このことは私たちに人との交流の大切さを思い起こさせる機会にもなりました。

音楽家にとっても、聴衆のいないガランとしたホールでの演奏が増えています。
人とのコミュニケーションが必要であり、そこに言葉が介在しない心の交流を生み出す、稀有なものだと一層強く感じています。

皆さまとこうして、ひとつの空間のなかで時間を共有出来ることも、今や奇跡のようなことです。

ひとつひとつの瞬間を大切に、今出来ることを重ねていくことが、未来への道となることを信じたいと思います。
そしてこの地球に、共に生きている私たちが謙虚さと配慮を持ち、お互いに寛容でありたいと思います。
この思いを受けとめていただければ幸せです。

2021年5月
公益財団法人アルゲリッチ芸術振興財団総裁
別府アルゲリッチ音楽祭総監督
マルタ・アルゲリッチ



コロナ禍の中で音楽祭を迎えて

今日ここに音楽祭のためにご来場をいただき、 本当にありがとうございます。

人類が過去何度か経験した感染病に苦しんだ歴史を、 今を生きる私たちが経験することとなりました。
大切な方を亡くされた方々、 病にある方々へ 心からお見舞いを申し上げます。

多くの困難の中にあって、 今年も諦めなければならないのか、 と思う場面が何度も起きていますが、全ての関係者の皆さま、 音楽家の皆さまに御支援をいただき、 音楽祭は2月に始まりました。 これはひとつの「奇跡」です。 心から御礼申し上げます。

5月にアルゲリッチ総裁とマイスキー氏が舞台にいて、 日本の音楽家の皆さまと共に、 皆さまに音楽の喜びを届けていてくださることを心から願いながら、 美しい新緑のなかでこのご挨拶を書いています。

それほど来日に関してのハードルは、 今もとても高いものです。
アルゲリッチ総裁にもマイスキー氏にも、 とてもたくさんのお願いと、 我慢をしていただいています。 お二人の寛容な優しさに感謝しかありません。
お二人の音楽への愛、 そして日本の皆さまへの思いがそこにはあります。

今年はおめでたいアルゲリッチ総裁の傘寿のお誕生日です。 皆さまとご一緒にお祝いをしたいと思います。
まるで音楽の神様が、 地球の人々へ与えてくださった贈りもののような存在です。
これからも何度も何度もここ日本へ帰ってきていただきたいと願っています。
おめでとうアルゲリッチ、 そしてありがとうアルゲリッチ。
皆さまにひとときのやすらぎをお届けできますことを、 心から願いつつ

2021年5月
別府アルゲリッチ音楽祭総合プロデューサー
伊藤京子



→ 2021年 第22回別府アルゲリッチ音楽祭開催中止のお知らせ


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