R・シューマン: ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44
R.Schumann: Piano Quintet in E-flat major op.44
1.アレグロ・ブリランテ Allegro brillante
2.イン・モード・ドゥナ・マルチア、ウン・ポーコ・ラルガメンテ In modo d'una marcia, Un poco largamente
3.スケルツォ、モルト・ヴィヴァーチェ Scherzo: Molto vivace
4.アレグロ・マ・ノン・トロッポ Allegro ma non troppo
シューマンは1842年、室内楽に集中的に取り組んだ。そのためにまずハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどの室内楽曲を研究していることからも、彼がいかに本気で室内楽に挑もうとしていたかが窺える。ピアノ五重奏曲もまさにこの年の所産で、ピアノと弦楽四重奏が室内楽的に結び付けられるとともに、しばしば協奏風に相対し、それによって外向的な情熱から内向的な夢想性までの幅の広い表現を生み出している。構成面でも、第1楽章第1主題を終楽章の最後で回帰させる循環手法を用いるなど全体の統一が考慮されている。
第1楽章(アレグロ・ブリランテ)は、情熱的な第1主題とロマン的な第2主題によって変化に富んだ展開を繰り広げるソナタ形式。第2楽章(イン・モード・ドゥナ・マルチア、ウン・ポーコ・ラルガメンテ)は葬送行進曲風の主部と2つの対照的なエピソードが交替する。第3楽章(スケルツォ、モルト・ヴィヴァーチェ)は音階を上下する急速なスケルツォで、2つのトリオを挟む。第4楽章(アレグロ・マ・ノン・トロッポ)は情熱に満ちたソナタ形式のフィナーレ。そのコーダは長大で、新しい主題、第1主題によるフガート、さらに第1楽章第1主題も導入しての2重フガートによって圧倒的な頂点を作り上げる。 |